残酷なのに笑える不思議!大人のための絵本「うろんな客」「おぞましい二人」エドワード・ゴーリー
大人だからこそ楽しめる絵本「うろんな客」
(とある喫茶店にてコーヒー片手に話し込むカップル)
ミカ「この前ね、たまたま入った近所の喫茶店で面白い絵本見つけてさ。あまりにも絵と言葉遣いがシュールで面白くて、本屋さんで買っちゃった。」
シュンスケ「へえ、どんな絵本?」
ミカ「これなんだけど。」
大人のための絵本作家として
世界的なカルト・アーティストであるエドワード・ゴーリー。
カギ鼻頭のヘンな生き物がやってきたのはヴィクトリア朝の館。
とある一家の生活の中に突然入り込んできて
そして、それから......
シュンスケ「あ、これ知ってるかも。あれでしょ、実は子ども嫌いの絵本作家が主人公の『うろんな客』を子どもに見立てて、面白おかしく書いてる絵本でしょ?」
ミカ「え?知ってるの?」
シュンスケ「うん。知ってる。モノクロの手書きの挿絵もシュールでいいんだけど、このまた日本語訳もクスッと笑えて面白いんだよね。」
ミカ「そうそう。私が好きなのは最初の方の『うろんな客』の登場場面。」
出し抜けに
飛び降り廊下に
走りいで
壁に鼻つけ
直立不動
シュンスケ「その場面、思い出しても笑えるんだけど。」
カルトなのに笑える不思議な絵本「おぞましい二人」
シュンスケ「あと、俺、『おぞましい二人』っていうのも好きだなあ。すっごい暗くて最初から最後まで陰湿な雰囲気なのに、笑えるっていう不思議な感じ。不謹慎な笑いっていうのかな。」
1965年に明るみに出た「ムーアズ殺人事件」。イギリスで二人の男女が4年にわたり5人の子供を残虐に殺して荒野(ムーア)に埋めていた事実が明らかとなった。「もう何年も本の中で子供たちを殺してきた」と自ら言うエドワード・ゴーリーが、この現実に起きた悲惨な事件によって心底動揺させられ、描いたのが本書である。
ミカ「何かタイトルと絵があんまり合ってない感じするのが、ゴーリーっぽいね。」
シュンスケ「だろ?でもよく見るとこの表紙の真ん中の大人は半分の大人二人だったりして、よくわからないんだよ。
俺が好きなのはこの二人の朝食を描いている場面。何気ない描写なんだけど、何かそれが逆に怖いんだよね。」
二人は食卓について、コーンフレークと糖蜜、カブのサンドイッチ、合成グレープソーダの朝食をとった。
ミカ「殺人事件を絵本で取り上げるなんて、なかなかの発想だよね。私、これ読んだことないから、今度、本屋に行って探してみよっと。」